
和紙になる植物は?
日本では紙の原料として、
三椏 雁皮 楮
主に、この三種の植物が使われてきました。
洋紙は大きな木を‘まるごと’使う
ヨーロッパでは綿のボロを原料に使っていたこともあったそうですが、やがて、たくさん手に入りやすい森や林の樹木を使う方法が広がりました。
はじめの頃は丸太をそのまま砥石、グラインダーですりおろしていたようですが、いまは切り刻んで小さなチップにしてから科学的に処理しているそうです。
針葉樹 広葉樹 細かく切り刻んだチップ
広葉樹ではユーカリやアカシア、針葉樹ではマツ、スギ、ヒノキなどが使われているそうです。
さらに大きな違いは?
和紙と洋紙の違いは使う木材の種類だけではありません、使う部分が違います。
私たちが普段使っている紙――「洋紙」は、主に木の幹の部分の繊維を使います。
洋紙は、大きな木を‘丸ごと’使う

大きな木の幹だけ、というわけではなくて、枝の部分や製材で残った半端な部分、建築現場の廃材なども使うそうです。
それらを細かく砕きチップにしたものを薬品で煮て溶かし、漂白をして真っ白な繊維の固まり「パルプ」にします。
工場に集められた木材 切り刻まれてチップに
「和紙」は、木を丸ごとすり潰したり、切り刻むというわけではなく、皮の内側の柔らかい白皮の部分を使います。そこが洋紙との大きな違いです。(産地によっては甘皮も使用します、黒皮の一部を混ぜることもあります。)
和紙は、皮の内側の繊維を使います

木の皮(靭皮じんぴ)は、外側から黒皮・甘皮・白皮の三つの部分があります。和紙の原料は柔らかくてきれいな「白皮」の部分が使われます。(産地によっては甘皮も使います。黒皮の一部を混ぜることもあります)
楮の幹 皮をむく むかれて吊るされた皮 黒皮をはがし白皮にする 柔らかな白皮 残った中心の部分
だから、和紙は強くて丈夫なのです。
針葉樹と広葉樹の繊維を比べると針葉樹の方が長いです。ですから強く丈夫な紙をつくるには針葉樹の方が向いています。
しかし、それよりも和紙の原料となる楮の白皮の繊維の方がさらにもっと長いのでより丈夫な紙をつくることができます。
【繊維の長さ】 | |
平均1.02mm | |
松・ | 平均2.3mm |
平均3.2mm | |
平均5.0mm | |
平均7.3mm |
「昔の技術では、木の皮の部分だけしか使えなかった」ということも言えますが、白皮の長い繊維をしっかりと絡ませた和紙は丈夫で破れにくいという特長があります。

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