A列判とB列判
よく使う紙のサイズに「A4」や「B4」がありますが、それがどのように決まったのか知っていますか?
和紙の大きさは紙を漉く「簾の大きさ」で決まります。
簾の大きさは各地でそれぞれ違います。昔は統一された規格などありませんでしたから、和紙には色々なサイズのものがあるのです。
明治になってから洋紙が生産されるようになったのですが、寸法が統一されていなかったので、輸送や保管、販売などの扱いに大変苦労したそうです。
昭和4年になって、やっとドイツ規格のA列判と日本独自のB列判の二本立ての規格ができました。日本も近代化され大きな製紙工場や印刷所が建設されるにつれ、JISにより標準寸法として「A列判」と「B列判」という規格が定められたのです。
A列判
A列判は ISOにも定められている国際標準規格です。 19世紀末ドイツの物理学者オズワルドによって提案されたドイツの規格で、 面積が1平方メートルの「ルート長方形」をA0としました。
A0を半分に切り分けていくとA1、A2、A3……のサイズになっていくことは皆さまもよくご存じですね。
種類 | 大きさ(mm) |
---|---|
A0 | 841×1189 |
A1 | 420×594 |
A3 | 297×420 |
A4 | 210×297 |
A5 | 148×210 |
A6 | 105×148 |
A7 | 74×105 |
B列判
B列判は、B0の面積が1.5㎡、A0の1.5倍の大きさになりますね。
これは日本だけにある規格です、他の国にはないので不便を感じることもあるようです。
種類 | 大きさ(mm) |
---|---|
B0 | 1030×1456 |
B1 | 728×1,030 |
B2 | 515×728 |
B3 | 364×515 |
B4 | 257×364 |
B5 | 182×257 |
B6 | 128×182 |
B7 | 91×128 |
白銀比
A列判もB列判もタテ、ヨコが白銀比という、1:√2=1:1.414…の比率です。
黄金比がよく知られていますが、白銀比も美しい比率として古来から使われてきました。
A列判もB列判も同じ白銀比なので、好きな大きさに拡大、縮小コピーが簡単にできます。 とても便利な規格ですね。
美濃判とB4サイズ
美濃和紙は優れた和紙として名高いものです。これは江戸幕府の公用紙としても使われていました。
その頃、紙の大きさは身分に応じて決まっていて、江戸幕府と徳川御三家(尾張、紀伊、水戸)だけが使う美濃判と呼ばれる、9寸×1尺3寸(273×394mm)のサイズがあり、他の者はこれより小さいものを使わなくてはなりませんでした。
明治になると、それまで一般庶民が使うことができなかった美濃判も広く使われるようになりました。
A判、B判が決定され、公布されたのは昭和のはじめのことですが、実は、日本独自のB判は美濃判を元にして生まれたサイズだということです。
美濃判とB4サイズはほぼ同じ大きさですが、 A0の面積が1㎡であることにならって、B0の面積を切りの良い1.5㎡にして、そこから半分、また半分とカットすると、ほぼ美濃判と同じ大きさの紙になり都合が良いということになったということです。
そして、ドイツの由来のA列判と日本の独自のB列判、二本立ての規格が現在まで引き続き使われるようになったそうです。
現在はA4サイズが主流に
1993年「各省庁で使われるすべての行政文書の規格をA4とする」というお達しがあり、それ以来、役所でもビジネスの現場でも書類はA4サイズが基本となってしまいましたが、
日本独自の規格であるB判も大切にしたいですね。
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